こんにちは
7月29日〜7月31日までの3日間、オリンピックボランティアの活動をしてきました。
私の担当会場は東京スタジアム、ファンクションエリアはイベントサービスです。
大会直前に無観客が決定し、観客誘導がメインとなるEVS(イベントサービス)チームは必要なくなるのでは?と思っていましたが、運営側の方が日程や内容の調整をしてくださり、当初の予定からは活動内容も大幅に変わり、活動日数もかなり減りましたが、3日間だけオリンピックボランティアとして活動しました。
思い描いていた当初の活動とはかけ離れてしまいましたが、それが貴重な私のオリンピックボランティア体験となったので、3日間の様子を記録に残しておきます。
ボランティア初日

朝から少し緊張しているのか、ちょっとふわふわしています。
家族にはボランティア活動期間中、家事のお手伝いをお願いしているのですが、それでも、なんとなく出かけるまでにできる家事をあれこれ片付けているわたし。若干家族に遠慮があるのでしょうか?
これから3日間の活動はお昼の12時半集合で21時解散の予定。
「家でお昼ご飯を食べていったら夕食までお腹が空くだろうから途中の駅で軽食でも食べてからいったほうがいいのだろうか?」などと考えながら、初日なのですこし早めに家を出ることに決め、身支度を整え始めました。
携帯をギリギリまで充電する事にし、途中で充電切れで困らないように準備万端。
会場までは自宅からユニフォームを着ていくことになっています。
この、『ユニフォームを自宅から着ていく』事は私にとって少し勇気が必要でした。理由はかなり目立つ色でオリンピック関係者だと一目でわかるからです。その姿で地元の商店街を通って電車に乗るのは相当目立つだろうし近所の人に会うのはちょっと恥ずかしいし・・・。
そのせいか、ずいぶん前から『UV対策用のカーディガンをユニフォームの上から羽織る』や『上着だけトイレで着替える』などユニフォームを目立たせない対策をあれこれ考えていましたが、ある時、「私が自分がやりたくて、自分で決めたボランティアなのだから、当初の予定通り自宅からユニフォームで参加しよう!」と思い、当日はユニフォーム問題に悩む事なく、自宅からユニフォームを着て行きました。
そういえば、2019年10月17日に国立オリンピック記念センターで参加した最初のField Cast研修の時に、「ボランティアの皆さんにはご自宅からユニフォームを着てボランティアに参加していただきます。オリンピック期間中は街中をオリンピックカラーで盛り上げたいと思います。」という話を聞かされた事を思い出し、状況が変わってしまい街中を染めることはできなくなったけれど、気持ちはあの時のままでいようと改めて思い直しました。
自宅を出て100メートルほど歩き出したら、ユニフォームを着ている自分がなんだか少し誇らしく思えてきて、突然「胸張って行こう!」とそんな気持ちになれた瞬間、
「あれ?携帯電話どうしたっけ??」
カバンの中を確認すると携帯電話が入っていない・・・。
そうだ、ギリギリまで充電しようと思って充電したまま出てきてしまったではないか・・・。携帯をカバンに入れるのを忘れている!と気がつき、慌てて取りに帰りました。
またやってしまった・・・。
早めに行動した事が功を奏し、乗りたい電車には乗れましたが・・・。(ホッ)
電車に乗ると少し視線を感じる事もあったけど、もう自分がユニフォーム姿である事などどうでも良くなっていました。夏休み中の小学生が不思議そうに眺めている視線がちょっと照れ臭かったくらいかな。
12時半からのシフトだったので乗り換えの駅で軽食を取ることにした。
お店に入る前に、自分の姿がユニフォームだという事に気がつき、普段よりちょっと人目を気にして立居振る舞いまで緊張してしまいました。ユニフォームというのはそれ程大きな意味を持つのでしょう。それと同時に普段の私は大体気が抜けているのだという事も併せて自覚する事ができたのでした。

駅に到着し、事前に教えてもらった道順で集合場所へ。
現場研修で一度来た事があるから大丈夫だろうとたかを括っていたが、あちこち通行止めになっていたり、階段が複数あったりして、やや迷子になってしまった。ここでもいつも通り・・・。
結局近くにいたスタッフに教えてもらって無事に集合場所に到着。
集合時間の5分前には到着したのに、なんと既に30人くらいの人が集まっていて、私は最後の方でした。みなさん行動が早い!!担当の職員の方に笑顔で迎えられ、これからの始まりを実感。
着いたらすぐにPCR検査の説明と、唾液検体の採取を始めました。
陽性だった場合は職員の方から連絡があるとの事でした。こういう検査を受ける時、人間は誰しも悪い結果だったらどうしようという事が頭をよぎるのでしょうか?「陰性でありますように」と思いながら採取していました。
その後、これから3日間一緒に活動するグループを作り自己紹介をしました。
私のチームは
医療従事者のNさん。
教員のKさん。
中国籍で日本の企業にお勤めのJさん。
そして主婦時々派遣パートの私。の4人です。
ボランティアに対して意識高そうなメンバーだし、私以外は全員男性。良い刺激ももらえそう。
チームの第一印象は派手さはないけれど落ち着いていて、それぞれの個性や良さが一つのグループとしてまとまっていきそうな感じです。
最初のグループリーダー決めは「ボランティアリーダー資格持ってますから、わたしやりますよ。」とNさんが手を挙げて下さり即決。心強い。
出会ってしばらくはお互い緊張気味に会話をしていましたが、Kさんが「せっかくだからグループの名前決めない?小学生ってすぐグループ名考えるじゃない?」と笑顔で声をかけてくださり和みました。さすが慣れていらっしゃる。
グループ名は面白いアイディアが浮かばず、単純にリーダーの名前をとって「チームN」になりました。
簡単に今日の活動内容の説明を受け、チェックインの為少し離れたチェックインセンターまで歩いて移動しました。スタジアム周辺は広いのでちょっとした移動でも10分から15分かかります。マスクで暑い・・・。
移動の間近くにいる方と雑談をしました。
当初の予定とは全く違った景色の中で迎えるオリンピックボランティア初日ということもあり、今までの長い道のりやその時々の思い、また、直前で無観客になり私たちの本来の役割がなくなってしまう不安などの話題が中心で、ずっと言えなかった思いをそこで仲間と共有できました。今回運営側の方の配慮でこうして活動させていただいている事についての話題になると、会話の端々に「なんだか申し訳ないね」とか、「本当は私たちお荷物なんじゃない?」と言ったニュアンスの内容も含まれていて、その通りだし、実際私もそう感じていたので「そうですよね〜。」と答えてはみたものの、言葉に出してしまう抵抗感を感じもしました。『同じ気持ちを持っているのに素直に言葉にできない自分ってなんだろう?』と思ったり、『運営側の方々のご苦労を思うとそんな事言わない方がいいよな』と思ったり・・・。ちょっと複雑な気持ちにもなりました。
これから私にできる事は、この好意に行動で返すことしかない、と感じたので、これ以上、申し訳ないと思う事やそれらを口にすることはしないと自分で決めました。
手荷物検査を受け、無事にチェックイン完了。
活動内容は事前に提示していただいた
*朝顔の成長見守り・お世話
*アクセスチェックポイント
*大会スタッフの誘導・案内
がメインとなり、グループ内で交代で休憩をとりながら活動をするとのことでした。
活動1 朝顔のお世話

最初の活動は『朝顔のお世話』でした。
朝顔は地元の小学生が東京2020大会に併せて育ててくれたもので、本来手荷物検査場に飾られるものでした。一つ一つにオリンピックへの思いや選手へのメッセージが添えられています。
朝顔は無観客で行き場をなくし、スタジアム内に飾られる事になりました。そのお世話を私たちボランティアが担当する事になりました。
活動のためにスタジアム内に入ると、オリンピックカラーに彩られ、装飾されたフィールドや客席が出迎えてくれました。東京2020大会で使用する図柄は日本の伝統色である藍、紅、桜、藤、松葉を基本カラーに十二単などで用いられる「かさねの色目」という手法で濃淡のある図柄にしているそうなのですが、東京スタジアムは紅を基調としたカラーでした。本当に日本らしい色の組み合わせで、スタジアムのグリーンの芝生と青空にとても映えてきれいです。写真撮りたかったなぁ〜(スタジアム内の写真撮影は禁止でした)
ちょうど試合のない時間帯だったということもありましたが、広いスタジアムの中がシーンと静まりかえっていて、「あ〜本当に観客がいないのだな。」と無観客の現実を実感した瞬間でもありました。
朝顔はフィールドの中段あたりにぐるりと1周飾られていて、担当ブロックをグループ毎に割り当てられてお世話をすることになりました。
水やりと剪定、枯れた葉を取り除いたり雑草を抜くなどの作業を中心に、隣の鉢や手すりにまで蔓が巻き付いているのを戻したり、観客席に散らばっている枯葉を掃除する作業を含めて行いました。
スタジアム内にはボランティアが入ってはいけないエリアがあったり、撮影禁止などについて、スタッフから何度も指示を受けました。特に大会関係者がいるエリアでは2メートル以上のソーシャルディスタンスを必ず守って欲しいとのこと。きっとスタッフの方も上の方から厳しく言われているのだろうなぁと推測しました。大変です・・・。
活動2 アクセスチェックポイント
朝顔のお世話の次はアクセスチェックポイントと大会スタッフの誘導案内の2つの活動に分かれる事になりました。私たちのグループは今日はアクセスチェックポイントの活動です。
当日試合に出場しない選手や関係者が競技を観戦するエリアへの誘導と、立入禁止区域へ入ってこないようにチェックする役割です。そういえば自宅でテレビ観戦をしていた時、座席周辺のポイントにボランティアの人が立っていたのを見かけたのですが、それかな?と想像がつきました。
何かあった際の連絡手段として2人に1台トランシーバーを与えられました。4人グループなので2人づつに別れて交代で夕飯を取りながらの活動になりました。
私が活動した期間は7人生の女子ラグビーの試合でした。
トランシーバーは一緒に活動したKさんが容易に操作してくれそうだったのでお任せしました。
活動開始して程なく体格の良いロシアの選手関係者が10人くらい続々と入ってきて、一瞬どうすれば良いかわからず固まりました。私の前を通過する時、笑顔でハローと行ってみたけれど聞こえたかどうかはわかりません。後からKさんと話したら、その時Kさんは慌ててトランシーバーでスタッフに連絡を入れてくれたのだそうです。そういえば数人スタッフのかたが降りてきてスムーズに案内されていたような・・・。私がトランシーバーを持たなくてよかった。
体がとても大きかったので男子ラグビーの選手だったのかなぁ?
活動内容はその他はほとんどなし。立ちっぱなしの時間が比較的長く、ちょっと疲れた事と、カメラに映り込む可能性があるので少し緊張感もありましたが、予選の試合をチラチラ観戦しながらの活動でした。
私はといえば、試合より、カメラを担ぎ高速でセグウェイを乗り回しながら撮影するカメラマンに釘付けでした。どうやったらあんなに自由自在にフィールドを撮影しながら動き回れるのだろうか・・・。
私も一度乗ってみたい。
活動終了
試合が終わったのが19時30分。
それぞれの活動場所や休憩場所から全員が集合しデブリーフィングを行いました。
初日だったせいか、どのグループからも1日の活動の流れや時間配分についての説明を事前に説明して欲しいなど、翌日に繋げる意見が多く出ました。
印象的だったのは組織委員会職員で今回のチームリーダーの方の対応が終始素晴らしかった事。特別なトレーニングを受けているのでしょうか。内側からの不満に対しても終始ブレのないアサーティブな対応を目の前で見せていただき、またそっちに釘付けの私・・・。人として学ばせてもらった瞬間でした。若いのにすごい!。
今日が活動初日で活動最終日の方を称え、本日のボランティア活動は終了。当初は21時までの活動予定でしたが解散したのは1時間早い20時頃でした。
集合解散だったので同じグループのNさんとKさんと駅まで談笑しながら帰りました。
今朝初めてお会いした方ばかりなのに、皆さんと本当にたくさんの会話をしました。私も自分でびっくりするくらい喋っている事に驚きます。オープンな雰囲気があったからだと思います。よく自己開示すると良いという話を聞きますが、自然とグループ内でそれができていたから安心感があると言った感じでしょうか。
「また明日お会いしましょう!お疲れ様でした」
と皆さんと別れました。
帰りの電車は通勤帰りの人が多かったのですが、もうユニフォームを着ていると言う事に全く抵抗がなくなっていました。

1日暑かったので白熊アイスが食べたくなり、コンビニで白熊アイスを買って帰宅。万歩計も2万歩近かったので冷たいアイスは格別でした。
初日の感想
初日の感想は「もう少し活動がしたかったなぁ」というのが正直な気持ちです。このような状況ですから仕方がないけど。
もう一つは「人に恵まれた」という事。たった1日なのに、一緒に活動する事がこんなに楽しいと思えるとは驚きでした。
帰ると程なく東京スタジアムEVSチームから明日の活動についてのリマインダーメールが届きました。明日は天候が悪いので傘やカッパの準備をするようにとありました。
明日はどんな1日になるのでしょう。
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